「水温む（みずぬるむ）」

求肥 中 白餡

冬の寒さが解け、太陽の日差しも明るくなり、池や湖に差し込むその光でだんだんと水がぬるんできたように思えることを水温むと表現します。芽ぐんだ水草、だんだんと活発になる水中の魚の動き、そして水の波紋、そのすべてに春らしさがただよい、実際に手を入れてみると温かさを感じます。

塩瀬の水温むは湖の水面と、波紋が広がる様子をイメージした上生菓子。水辺に沈む杭を中心に波紋が広がっていきます。中心を大納言小豆で、湖の情景を白と青の２色のせっぺいで表現します。
白いせっぺいを青い色彩の上にかぶせることでグラデーションを表現しており、このせっぺいの腰が強いと包んでも模様が出なくなってしまうのです。せっぺいに入れる卵白の調整、空気の入れ具合のバランス、そして粘りが出なくなるような柔らかさを出す必要があり、作業スピードでも見え方が変わってしまう繊細な上生菓子です。